おすすめ度 ★★★★☆
読み聞かせ時間 約10分
あらすじ
捨て子のたろうは村人たちに育てられた。
秋祭りの日のすもう大会で、村の若者たちを投げ飛ばしたが、若者たちが足腰が立たなくなって野良仕事に出られなくなってしまった。
村のみんなは「たろうは化け物のしばてんではないだろうか」と噂しはじめ、長者様の命令で山奥へと追いやられてしまうが...
昔話ふうなのですが、土佐に伝わる妖怪伝説をもとに、作者の田島征三さんがオリジナルのお話に仕立てたものです。
これが田島さんの学生時代の作品だというのだから驚きです!
田島さんの絵本は「つかまえた」でも紹介しましたが、かなり個性的な絵です。
この絵本の絵の印象は「つかまえた」より、物語に寄り添った感じでした。
昔の言葉が多いし、土佐の言葉もあって、子供たちにはわかりにくいかなと思いましたが、そんな心配は不要でした。
最初は落ち着きのない子もいましたが、中盤から後半にかけて、子供たちは真剣な表情で聞いていました。
あとがきで「青年になってからでも(略)「あの絵本の作者がいおうとしたことは、このことだったのか!」と心に沈んでくれることです」とありますが、そのとおりになったのではないかと思います。あるいは、小学3年生である子供たちにも作者の意図の一端が理解できたのではないだろうかと、今日の子供たちの表情を見ていて思いました。
いわゆるハッピーエンドではないのですが、それ以上にいろいろなことを考えさせられる絵本です。
土佐の言葉と昔の言い回しが難しいので、練習がかなり必要です。なので、読み手としては☆を4つにしましたが、ぜひ読んでもらいたい一冊です。
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