Small Moon のおはなし会ラボ

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プロによる読み聞かせの勉強会に行ってきました(2021.2.17)

2月17日に声優やナレーターのお仕事をされている田丸 楓さんの読み聞かせ勉強会に行ってきました。遅くなりましたが、タメになったことを書き留めておきます。

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これだけはやってほしい

読み聞かせって、自分が楽しむものではないですよね。
必ず相手がいることで、相手が「読んでもらってよかったね」と思ってもらうには、次の3つは必ずやってほしいということでした。
1. 大きく
2. ゆっくりと
3. はっきりと

「そんなことわかりきってる」という感じの3点ですが、実践は意外に難しいものです。

実際に読んでみて、田丸さんから講評をいただいたのですが、私の場合、いまいち声が小さかったようです。大きな声を出す発声法などを教えていただければ良かったのですが、今回はそこまでの練習法については教えて頂けなかったので、個人的には腹筋を意識して読むように心がけたいと思います。

「ゆっくりと」に関しては、実践の場で早い人が何人かいました。「どのくらいゆっくり読めばいいの?」と疑問に思いますが、私は「日本むかし話」の市原悦子さんの語りをお手本にしています。田丸さんからも「スピードはとても良かった」と言われたので、このくらいで良いのだと思いました。
また、セリフの「 」のあとに文章がくるときは、ひと呼吸おいて読むと、セリフだということがわかるので、それほど大げさに感情を込めなくてもいいということでした。

「はっきりと」に関しては、まずは日本語の母音と子音についての解説がありました。
たとえば、「そとを見る」をアルファベット表記にすると
SO TO O MI RU
になりますが、「と」と「を」の O がつながっているため、「そとを」ではなく「そとー」と読む人が意外に多いのだそうです。
意識してはっきりと読む習慣をつけておきたいと思いました。
また、人の名前などの固有名詞と数字は、特にはっきりと発音しないと伝わりません。
語尾などはちょっと聞こえずらくても、ある程度の推測ができますが、固有名詞と数字は文脈からの推測ができないので、ここも意識してしっかりと発音することが大事です。

読み聞かせの計画を立てる

読み聞かせをするうえで下読みは必須ですが、どんなふうに読めばいいのかを計画しておくことが大事だそうです。
たとえば、楽しい絵本なら感情豊かに、物語をじっくり楽しむ絵本ならそれほど大げさにならないようにする、などです。
本の内容と読み手(自分自身)の個性を考えながら、どういうふうに読むかを事前に考えておくことが大事です。
絵本には多いんですが、繰り返しが出てくることがあります。今回の教材は『さんびきのやぎのがらがらどん』でしたが、一番目のやぎ、二番目のやぎ、3番目のやぎの登場の仕方や橋を渡る音など、繰り返しが多用されています。そんなとき、「あっ、これって前もあったな」と思わせるような読み方をすると良いそうです。(田丸さんは”立てる”とおっしゃっていましたが、これを文章で説明するのはちょっと難しいです)
漫然と下読みをするのではなく、「ここはこんなふうに工夫して読んでみよう」と考えながら練習するといいのではないでしょうか。

演技は落語をお手本に

よく「読み聞かせは感情を込めずに淡々と読むべき。感情を込めると子どもが想像する余地がなくなる」と言う方もいますが、田丸さんは一つのヒントとして「落語をお手本にすると良いのでは?」とおっしゃっていました。
ドラマや舞台などでは演技者が何人もでてきて、食事をするシーンなどもリアルに再現されます。ところが落語は演者は一人で、扇子が箸になったり、キセルになったりします。それほどリアルではありませんが、お話はしっかりとわかりますよね。
実際に声優の田丸さんの読み聞かせを聞いたところ、プロの方の抑えた演技は私たち素人の大げさな演技よりずっと演じていると感じました。要するに素人が読み聞かせで多少の演技をしたとしても、子どもの想像する余地をなくするほどではないなあ、と。
楽しく聞いてもらって、楽しく読める範囲で演技をするのは全然大丈夫だと思いましたよ。

タイトルで引き込む

田丸さん曰く「タイトルをなんとなく読んでいる人が多い」ということです。そういわれてみればそうだなあと思います。
タイトルは「これからお話が始まりますよ」という合図であると同時に、聞き手が「どんなお話なのかなあ」と楽しみにするように読むべきということです。
絵本の内容と対象の子どもの学年にもよりますが、ちょっと大げさなくらいでもよさそうです。
ただし、表紙と大扉をどのバランスで読めばいいのかは不明でした。たいがいの絵本は表紙をあけるとすぐに大扉になるので、どちらも同じような感じで読むといいのか、それとも大扉は読まなくていいのか、という疑問は残っています。

たいへん人気の講座だったそうで、30名募集のところ、70名近くの問い合わせがあったそうです。さすがに声のプロのお話だけあって、タメになることがたくさんありました。
読み聞かせを長くやっていると、どうしても一人よがりになったりすることがあるので、機会があればプロの方に聞いてもらって講評してもらうと良いなあと思いました。